胸キュン!恋愛ストーリー
- 家の前でされた突然のキス
- ■「これが答え」
地元の駅で迎えを待つ私に、彼が声をかけてきました。それまで何とも思っていなかったクラスメイトの1人。ですがその時、心のどこかで?カチッ?とスイッチが鳴ったような気がしたのです。
その日を境に、私と彼の距離は近くなり、休み時間や下校を共にするようになりました。しかし付き合っているわけではなかったため、周りの友人からは「早く告白しちゃいなよ」と急かされていました。
私には告白する勇気などなかったのですが、高校3年の学校祭の日、彼に「一緒に回ろう」と誘いを受けました。
もちろん承諾し、笑いながら一緒に校内を回るも、手は繋ぎませんでした。
そして後夜祭の後、家の近くまで送ってくれた彼に私は問いかけました。「ねえ…私たちって…付き合ってる?」
彼は一瞬驚いたような顔をし、それから初めて、私の手をぎゅっと握りしめてこう言いました。
「…これが答え」
唇に何かが触れ、頭が真っ白になりました。キスされたと気づくのに時間がかかり、唇が離れた後も私は暫くポカンとしていました。
「じゃあ、おやすみ」
彼は私の頭をぽんぽんと叩いて去っていきました。我に返った途端、急に恥ずかしくなり、家に帰ってからすぐに布団にもぐりこみましたが、ほとんど眠れませんでした。
■「絶対に迎えに行くから…待ってて」
世界はこんなにも鮮やかだったのかと思うほど、毎日が楽しくなりました。彼とはたくさんデートを重ね、おそろいのストラップを買ったり、ごくごく普通のカップルとして過ごしていたと思います。
このまま幸せな日々が続けばいいと願いましたが、そうもいきませんでした。
高校卒業後、彼は海外の大学へ進学する意志を持っていたのです。卒業が近づくにつれて、私の心は不安でいっぱいになっていきました。
彼はそんな時、必ず私の手を強く握り、「大丈夫だから」と励ましてくれました。
あっという間に高校生活は終わりを告げ、とうとう彼と離れなければいけない日がやってきました。
空港まで見送りに行き、彼が抱える荷物の多さに涙が零れました。
彼はやっぱり私の手を強く握りしめ、涙を拭ってくれました。そして、「絶対に迎えに行くから…待ってて」と、プロポーズのような言葉をくれました。
改札を通った彼の後ろ姿。行かないで!と叫びたい気持ちを必死に抑えつけて、精一杯の笑顔で見送りました。
そして彼が旅立ってから2回目の春、帰国のメールが届きました。
たくさんの人が行き交う空港内、彼の姿を見つけた私は必死に駆け寄りました。彼もそれに気づき、私が言葉を発する前に、抱きしめて言ったのです、「待っててくれてありがとう」と。彼は約束通り私を迎えに来てくれました。
待っているのが辛いこともありましたが、きっとこれから先、「あの頃はさ」なんて笑いながら話せる日が来ると思っています。
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