胸キュン!恋愛ストーリー

2月14日の奇跡
■誰もいない教室、そこに奇跡が……
2月14日当日、私は2回ほど作り直しやっと成功したチョコレートケーキを綺麗にラッピングしてカバンの一番下に入れていました。高校3年生の当時、私が好きだったのは一年生の時に同じクラスだった野球部の男の子。一年生の時は同じ委員会で仕事をしていたのですが、2年からクラスが離れてしまいそれっきり話すこともありませんでした。
「私のことなんて忘れちゃっているかな」という不安を抱えながらも、高校最後のバレンタインに淡い期待を込めてチョコレートを渡す機会をうかがっていました。しかしクラスも違い授業も別々の彼に話しかけられるチャンスもなく、時間は刻々と過ぎて行ってしまいます。焦る気持ちはありましたが、同時に「渡さない方がいいのかもしれない」と弱る思いも出てきてしまって。そうして悩んでいる内にとうとう放課後になってしまいました。
みんなが下校していく中、私は暗い気持ちで椅子に座っていました。未だチョコレートはカバンの奥に眠っています。このまま持ち帰って自分で食べてしまおうかと思いましたが、最後のチャンスにかけて私は彼の教室まで駆けていきました。しかしそこには人影は無く、からっぽの教室だけがシンとしているだけです。もう授業は終わってしまいましたし、彼も他の生徒もとっくに部活に行ったか下校してしている時間なのですから。
一人暗い教室でうなだれていると突然扉が開き、そこに現れたのは何と彼でした。

■私のことを覚えていてくれた彼
「あれ、どうした?」と彼は私に話しかけました。どうやら彼は部活中に忘れ物に気付き取りに来たらしいのです。私は曖昧に返事をしながら、机の中を引っ掻き回している彼を見つめてどうしたらいいのか悩んでいました。渡すのであれば今しかないと思いましたが、口がカラカラで足も縫い付けられたようにその場から動きません。
そうこうしているうちに彼は1枚のプリントを見つけ出して廊下へ向かっていってしまいます。このままでは彼が行ってしまうと思った私は、思い切って彼に声を掛けました。私の蚊の鳴くような声は微かに彼に届いたようで足を止めてくれましたが、「何か用?」という問いに素直に答えられず、こっそり取り出したチョコを持って「コレさっき知らない子から預かったんだけど」とまるで送り主が自分ではないかの様に振る舞いました。
しかしチョコのカードにはちゃんと名前も書いてありますし、この状況から私からのチョコだというのはバレバレだったでしょう。でも彼は私の手からそれを受け取ると、カードをまじまじと眺めてこう言いました。
「そっか。ありがとうって言っといて。この子、一年の時は仲良かったんだけど、ずっと話せてなかったから嬉しいよ。」
私は覚えていてくれたことが嬉しくて泣きそうになりながら彼を見上げました。「ちゃんとお返しするからって、伝えてくれな。」と言い残し彼は教室を出ていきました。一か月後の14日、私の机にはクッキーの袋と「ありがとう」の手紙が入っていたのでした。

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